「めぐり」と運動から考える、月経痛のしくみ
生理が始まると、下腹部が重く痛んだり、腰や脚まで痛みが広がったりすることがあります。
「今月はいつもより痛いな」と感じることもあれば、ほとんど痛みを感じない月もあるかもしれません。
同じ「生理」という体の自然なしくみなのに、なぜ痛みの強さにはこんなにも個人差があるのでしょうか?
生理痛はとても身近な症状ですが、「生理だから仕方がない」とだけ考える必要はありません。
体の中で何が起こっているのかを知ることで、自分の体に合ったケアを選びやすくなります。
このページでは、生理痛が起こるしくみを、「めぐり」と運動という視点からわかりやすく見ていきましょう。
生理痛は、体の中で何が起きているの?
生理痛は、医学的には**月経困難症(げっけいこんなんしょう)**と呼ばれます。
生理のとき、子宮は不要になった子宮内膜を体の外へ排出するために収縮します。
この収縮に深く関わっているのが、プロスタグランジンという物質です。
プロスタグランジンは、子宮の筋肉に「収縮する」という信号を送る働きをしています。
適切な収縮は、生理に必要な自然な働きです。
ところが、プロスタグランジンの量が多くなると、子宮の収縮が強くなり、痛みも強く感じられることがあります。
また、子宮が強く収縮すると、一時的に子宮の筋肉への血流が少なくなり、酸素の供給が低下することが、痛みの一因になると考えられています
(Dawood, 2006; Iacovides et al., 2015)。
生理痛には、次のような症状が伴うこともあります。
- 下腹部の締めつけるような痛み
- 腰や骨盤まわりの痛み
- お尻や太ももに広がる痛み
- 吐き気
- 頭痛
- めまい
- 疲れやすさ
そして、その強さや感じ方は、人によって、また同じ人でも周期によって変わることがあります。
なぜ、生理痛の強さには個人差があるの?
生理痛の強さは、単純に「子宮が強く収縮するから」だけで決まるわけではありません。
いくつかの要素が重なって、痛みの感じ方が変わります。
プロスタグランジンの量
プロスタグランジンが多く作られると、子宮の収縮が強くなり、痛みも強くなる傾向があります。
炎症反応
プロスタグランジンは、体内の炎症反応にも関わっています。
体の炎症反応が高まっている状態では、生理中の痛みが強く感じられる可能性もあります。
ホルモンの働き
エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンは、月経周期を通して子宮内膜の変化に関わっています。
そのため、ホルモンの働きや周期ごとの変化も、生理痛の感じ方に影響すると考えられています。
子宮の反応の強さ
同じ量のプロスタグランジンがあっても、子宮の筋肉がどの程度反応するかには個人差があります。
つまり、生理痛は一つの原因だけで決まるものではないのです。
「めぐり」と生理痛には、どんな関係があるの?
ここで注目したいのが、**骨盤まわりの血流、つまり「めぐり」**です。
子宮が強く収縮すると、その周辺の血管が一時的に圧迫され、子宮の筋肉への血流が低下することがあります。
血流が低下すると、組織に届く酸素も少なくなります。
こうした状態が、痛みの感じ方に関係すると考えられています(Iacovides et al., 2015)。
そのため、生理痛を考えるときには、
子宮の収縮だけを見るのではなく、骨盤まわりの血流や筋肉の緊張にも目を向けることが大切です。
ストレスや緊張も、生理痛に関係する?
生理痛の感じ方には、体だけでなく神経系や心理的な状態も関係しています。
強いストレスが続いていると、体が緊張状態になり、筋肉がこわばったり、痛みをより強く感じやすくなったりすることがあります。
実際に、ストレスと月経痛との関連を調べた研究もあります(László et al., 2008)。
だからこそ、
「生理中だから、何もせずじっとしていなければ」
と決めつける必要はありません。
もちろん、痛みが強いときには休むことも大切です。
でも、体調に合わせたやさしい動きを取り入れることが、かえって体を楽にしてくれる場合もあります。
なぜ「動くこと」が生理痛のケアになるの?
生理痛があるときは、「できるだけ動かないほうがいい」と思うかもしれません。
しかし、研究では、適切な運動習慣が生理痛の軽減につながる可能性が示されています(Carroquino-García et al., 2019)。
無理のない運動には、
- 骨盤まわりの血流をサポートする
- 筋肉の過度な緊張をやわらげる
- 体をリズミカルに動かすことで、心身の緊張をほぐす
といった働きが期待できます。
もちろん、痛みが強いときに激しい運動をする必要はありません。
大切なのは、その日の体調に合わせて、無理のない範囲で体を動かすことです。
アヴィヴァ・メソッドと生理痛
ここで、骨盤まわりの「めぐり」と運動を考えるうえで、アヴィヴァ・メソッドにも注目してみましょう。
アヴィヴァ・メソッドは、骨盤まわりを中心としたリズミカルな動きによって、女性の体の自然なリズムや「めぐり」をサポートする女性のための運動メソッドです。
一般的な全身運動とは異なり、骨盤、下腹部、腰、股関節、脚などを含め、女性の体に意識を向けた動きを組み合わせていることが特徴です。
そして、このアヴィヴァ・メソッドについても、近年、科学的な研究が行われています。
コヴァーチ・ゾルターン博士らの研究では、アヴィヴァ・メソッドの実践によって、子宮動脈の血流に測定可能な変化が見られたこと、また継続的な実践によって原発性月経困難症の痛みが軽減したことが報告されています
(Kovács et al., 2023, 2024)。
さらに、体の変化に気づきやすくなる**身体感覚(ボディ・アウェアネス)**の向上についても研究されています。
つまり、
「生理痛があるから、とにかく我慢する」
のではなく、
体の状態を知り、動きや生活習慣を通して、日頃から体を整えていく。
そんな考え方の一つとして、アヴィヴァ・メソッドを見ることができます。
生理中にもできるアヴィヴァ・メソッド
アヴィヴァ・メソッドの基本18種の中には、生理中の痛みがあるときにも取り入れられる動きがあります。
特に4番、6番、13番の3つの動きは、生理前のケアとしてだけでなく、実際に痛みを感じているときにも行うことができます。
また、生理が始まる5~6日前から、これらを毎日数分程度取り入れておくことで、痛みが比較的軽く感じられる場合もあります。
そして、アヴィヴァ・メソッド全体を普段から継続して行うことも、生理痛の予防的なケアの一つになります。
生理痛は「我慢するもの」ではなく、体を知るきっかけに
生理痛には、プロスタグランジン、子宮の収縮、血流、筋肉の緊張、神経系など、さまざまな要素が関係しています。
だからこそ、
「生理痛=仕方がない」
と一言で片づける必要はありません。
温めること、生活習慣を整えること、無理のない運動を取り入れること。
そして、骨盤まわりの「めぐり」を意識して体を動かすこと。
こうした小さなケアを日頃から積み重ねることが、生理との付き合い方を変えるきっかけになるかもしれません。
もちろん、痛みが強い場合や、以前とは違う痛みが出てきた場合には、セルフケアだけで済ませず、婦人科などの医療機関に相談することも大切です。
自分の体の変化に気づくこと。
そして、そのサインを無視せず、自分に必要なケアを選ぶこと。
それもまた、女性が自分の体を大切にするということではないでしょうか。
めぐりの灯りでは、アヴィヴァ・メソッドを通して、女性が自分の体の声に気づき、無理なく自分自身の体を整えていけるようサポートしています。
【監修】
デメテル・ズィタ
生物学博士
認定アヴィヴァ・メソッド インストラクター
グローバルにアヴィヴァ・メソッドの指導を行いながら、女性の健康やホルモンバランスに関する専門的な知見をもとに、本記事の監修を担当しています。
【編集・日本向け構成】
リヒテンシュテイン・ノエミ
認定アヴィヴァ・メソッド インストラクター
日本でアヴィヴァ・メソッドの指導を行いながら、日本の読者に向けて内容の再構成・編集・ローカライズを担当しています。
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